滴水之恩 当湧泉相報
「一滴の水のような恩にも湧き出る泉のような大きさでこれに報いるべし」
劉 暁帆さんは東京造形大学大学院の2年生で先月、修士課程修了研究及び制作の発表会(ZOKEI展)でした。劉さんのテーマは中国の地域資源を活用して、新たな視点による活性化プランです。具体的には、魅力的な「香り袋」、モダンな「香りボール」をデザインしモデルを提示しました。卒業したらデザイナーとして故郷の湖北省武漢に帰国する予定でした。ところが折しも、新型コロナウィルスの問題で帰国ができなくなりました。いつ収束するのか見通しの立たない状況の中、武漢には両親がいます。そして自宅待機とのことです。そんな中、東北復興メダル制作2020の話を紹介しました。劉さんは「プロジェクトに参加してメダルのデザインを考えたい」と後日、そのメダルのコンセプトを説明してくれました。それが「滴水之恩 当湧泉相報」です。
本プロジェクトはブルーノ・ピーフルさんの情熱の一声から始まった。初めてその話を聞いたのは2018年の6月あたりだろうか。2020年の東京オリンピック、パラリンピックの参加国にメダルを贈呈したい、それは2011年3月11日に起った東日本大震災の復興の感謝の印として。その気持ちは分かるにしても、実現性を考えると大変難しいことと、2018年時点では私も含めて発起人の誰もが思った。しかし、その思いは強く、ある機会を通して、ピーフルさんが新聞で紹介され、東北復興メダルプロジェクト2020がスタートした。そして結果として現在40名を超える工芸者、地場産業従事者、デザイナー、アーティストがこのプロジェクトに共感して参集したことは大変意義深く、確たる核ができたことを意味する。そして参集した皆さんのこれまでの素晴らしい活躍と様々な取り組みを拝見するにつれ、このメダル制作が単にメダル制作で終わらず、新たなものづくり、あるいはことづくりの予兆を感じる。
(文責:玉田)
ニュースソース
右上段:秋田魁新報社 2019年12月8日
右下段:陸奥新報 2020年1月1日